元国営企業の女性従業員達が、とある海外の地方都市で売春の現行犯で逮捕された。

実はその都市で30年以上にわたって売春が行われていたのだが、

客が自国の人間ではなく、企業が属している国の高官などが主な客だったために、

地元の警察は相手にしていなかった。

自国から遠く離れた海外で、自国の高官に従業員をあてがい、許認可等を有利に進めていたのだ。

しかし、地元の売春婦達から「なぜあいつらは逮捕されないんだ！？」と不満があがり、

仕方なく囮捜査をする事になった。

容疑者は40人以上。

コントロールは会社のマネージャーが行っていた。

その事件は本国では殆ど報じられる事は無かった。

なぜならその企業は、国営から民間企業になってから、その国の警察上層部の天下り先になっていたから。

その後、その噂を聞きつけたフリーのジャーナリストが、自国出身の現地にいる探偵を雇い、逮捕された従業員のリストを手に入れようとした。

雇われた探偵は、いとも簡単にリストを手に入れる。

売春犯罪の記録は、その国では公開資料だったのだが、その事は黙ってふっかけたのだ。

しかしリストと公開されている捜査資料を翻訳している最中に、依頼人であるジャーナリストからキャンセルの連絡が入った。

奇妙な事に前払い金は返さなくてよいとの事。

そして今後一切連絡をしないで欲しいとも言われた。

探偵は不思議に思ったものの、金が手に入った事で気をよくして、その事は忘れる事にした。

その後数年が経ち、探偵は自国に戻り保険調査の仕事をするようになる。

暫くしてその探偵は、保険調査で知り合った別の探偵から奇妙な事件の話を聞いた。

小学生の男児がひき逃げされ、大怪我を負わされたその事件は、ガードレールに塗装痕、アスファルトにはブレーキ痕、

ヘッドライトとテールレンズの破片が現場に残されていたにも関わらず、

警察の発表は「車種が特定できない」と言うものだった。

何気に被害者の家族について聞いてみると、なんと以前に売春婦のリストを依頼してきた依頼人だった。

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