フスマの向こう側 ~怖い話 体験談~

つい先日の夜。

僕が部屋で横になっていると、三歳の息子が駆け込んできて、出入り口のフスマをぴしゃりと閉めた。

しかも閉めただけではなく、必死にそのフスマを開かないように押さえている。

僕 「どうした?」

息子 「………」

僕 「何で閉めると?」

息子 「入ってくる」

僕 「何が入ってくると?」

息子 「オバケ」

息子は、居間から僕のいる部屋に入ってきたのだが、

その間にある廊下(玄関に続いている)から玄関を見たときに「何か」が見えたらしい。

僕 「どんなオバケやった?」

息子 「男の子やった」

僕 「怖かった?」

息子 「怖かった」

僕 「そのオバケ、怒っとったと?」

息子 「怒ってなかった。けど怖かった」

まだ息子はフスマを押さえている。

息子 「オバケ、まだいるかな?」

僕に聞いてくる息子。

僕 「お父さんが見てみるたい」

僕は息子にさがるように言うと、フスマを少し開け、頭を出し、玄関を見た。

そして再びフスマを閉めると笑顔で言った。

僕 「何もおらんよ」

息子 「本当?」

僕 「うん。さ、テレビみようか?」

そう言って僕がテレビに手をのばした瞬間、息子はスッとフスマをあけ、玄関を覗きこんだ。

瞬間、

息子 「うわぁあああああん!!!」

急いでフスマを閉め、僕に抱きつき泣き出す息子

息子 「オバケ、怒ってる!!オバケ、怒ってる!!」

頭をなでてなだめる僕。

僕 「大丈夫、大丈夫」

息子 「オバケ、怒ってる!!僕のせい?」

僕は笑顔で答えた。

僕 「違うよ、お前のせいじゃないよ」

そう……息子のせいじゃない。

きっと「見えないふり」をした僕のせいだ……

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